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名古屋地方裁判所 昭和59年(わ)1005号 判決 1984年11月29日

本店の所在地

愛知県蒲郡市栄町七番九号

法人の名称

株式会社ニデック

代表者の住所

愛知県蒲郡市宮成町五番五号

代表者の氏名

小澤秀雄

本籍

愛知県蒲郡市宮成町二一五番地の四

任居

同町五番五号

会社役員

小澤秀雄

昭和五年五月二三日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官尾崎道明出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社ニデックを罰金三、〇〇〇万円に、被告人小澤秀雄を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人小澤秀雄に対しこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社ニデック(以下単に被告会社という)は、愛知県蒲郡市栄町七番九号に本店を置き、光学機械・光電機器の製造等を業とするもの、被告人小澤秀雄は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括するものであるが、被告人小澤秀雄は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、原材料等の在庫を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が八億四、八三八万六、八〇二円で、これに対する法人税額が三億三、五六二万一、一〇〇円であるのに、同年五月三〇日、愛知県豊橋市前田町一丁目九番地四所在の豊橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六億七、四六四万七、四三七円で、これに対する法人税額が二億六、一五〇万三、七〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額七、四一一万七、四〇〇円を免れ

第二  同五七年四月一日から同五八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一三億四、三二八万五、七三二円で、これに対する法人税額が五億五、八六九万七、八〇〇円であるのに、同年五月三一日、前記税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一二億八、二九七万九、五〇四円で、これに対する法人税額が五億二、八九一万四、六〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二、九七八万三、二〇〇円を免れ

もって、いずれも不正の行為により法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人小澤の

(イ)  当公判廷における供述

(ロ)  検察官に対する供述調査

(ハ)  大蔵事務官(六通)に対する質問てん末書

一  小山武志(三通)、酒井信義(三通)、植村克彦、白井美恵子、廣濱幹雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  小山武志、酒井信義(二通)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成(五八・一二・八)の脱税額の計算に関する脱税額計算書説明資料

一  登録官吉田健次作成の登記簿騰本

一  大蔵事務官作成の青色申告の承諾の取消し事実についての証明書

一  大蔵事務官作成の確定申告の内容についての証明書三通(検甲第五、第七及び第八号証)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和五五年四月一日 至昭和五六年三月三一日)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和五七年四月一日 至昭和五八年三月三一日)

(法令の適用)

被告会社の判示第一の所為は行為時において昭和五六年法律第五四号脱税にかかる罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の法人税法一五九条一項、一六四条一項に、判示第二の所為は法人税法一五九条一項、一六四条一項にそれぞれ該当するところ、判示第一の所為については犯罪後の法律により刑の変更があったときに該当するから刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、判示各所為は、いずれもその免れた法人税の額が五〇〇万円を超えるので情状により、判示第一の所為については右改正前の法人税法一五九条二項、判示第二の所為については右改正後の法人税法一五九条二項をそれぞれ適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪につき定めた罰金の合算額以下において被告会社を罰金三、〇〇〇万円に処し、被告人小澤秀雄の判示第一の所為は行為時において昭和五六年法律第五四号脱税にかかる罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の法人税法一五九条一項に、判示第二の所為は法人税法一五九条一項にそれぞれ該当するところ、判示第一の所為については犯罪後の法律により刑の変更があったときに該当するから、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、所定刑中懲役刑をそれぞれ選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第一の罪の懲役刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 宮平隆介)

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